太陽系は約46億年前、銀河系(天の川銀河)の中心から約26,000光年離れた、オリオン腕の中に位置。

 日本経済新聞

福島県喜多方市・熱塩温泉 ヤギと植物、癒やしの宿

湯の心旅

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雪深い山懐(やまふところ)、"喜多方のハイジ"が3頭のヤギを追って雪道を散歩する。福島県・熱塩(あつしお)温泉「帰郷のお宿 ふじや」ではヤギを飼い、料理は無農薬野菜。植物療法士が体の不調にあわせてアロマを処方する。

4代目社長と若女将の兄妹コンビが切り盛りするふじや。若女将の山本志穂さん(39)は子供のころから動物好き。2020年に地元に住むおじいさんから譲り受けたパチュリを皮切りにマロー、エルダの3頭のヤギを飼う。

夏は放牧して雑草を食べ、冬の餌は杉の葉や有機野菜のサツマイモなど。毎日周辺を散歩させ、小屋を掃除する。宿泊客は一緒に散歩できる。

「ヤギの飼育を学ぶうちにカシミヤヤギなどの扱われ方のひどさを知り、ビーガン(動物性食品を食べない思想)についても学んだ」と志穂さん。自身もなるべく動物性のものは食べない「フレキシタリアン」(ときには肉なども柔軟に食べる主義)に変えた。

この日のお着きの菓子は「生米もちもちマフィン」。アレルギー対応のビーガンスイーツだという。宿で出す会席料理には肉も魚も使われているが、鍋に盛り込まれた野菜の多さに驚く。野菜の味が濃いから漬物もおいしい。「味も香りも違うでしょ。自然農法の野菜は冷蔵庫の中に放置しても、干からびていくんです」(志穂さん)。別注でニシンの山椒(さんしょう)漬けや馬刺しなど会津の郷土料理も頼める。

8年前、生家に戻ってきた志穂さんは無農薬で野菜を作り(冬は農家の有機野菜を取り寄せ)、2年前からヤギの小屋から出る藁(わら)や糞を肥料に、循環型の農業を始めた。

売店で販売するグラノーラやスタッフが身につけるエプロン、座布団などもすべて若女将の手作り。東京のデザイン会社で働いていた経験から土産物のパッケージデザインのセンスも光る。

温泉は名前の通り、熱くて塩辛い。薄くにごったうぐいす色で、雪道の散歩で冷えた手足に染みこんでいく。

若女将の夫・山本優介さん(38)は長年香りに携わるフィトテラピスト(植物療法士)。温泉とアロマやハーブでストレスをケアする「リトリートプラン」を手掛ける。プラン設定日以外でも「首の凝りがひどい」「冷えやむくみをとりたい」といった個別のカウンセリングを受ける。

「植物療法はストレスの緩和、免疫系や自律神経の乱れを整えるのにいい」(優介さん)。4月からは東京の「ルボアフィトテラピースクール」で講座を持つ。

「蔵とラーメンのまち」喜多方の市内までは車で約15分。型染めで絣(かすり)模様を表現できる「会津型(あいづがた)」で作品をつくる「染織工房れんが」を訪ねた。

伊勢、京都、江戸と並んで染型紙の生産地だった喜多方。工芸家の冠木昭子さん(80)は型紙商だった小野寺家の蔵から「会津型」の型紙200枚を1984年に譲り受けて復活させた。

「柿渋で和紙3枚を固めた『地紙(じがみ)』を作るのは伊勢の『伊勢型紙おおすぎ』のみ。手で彫る型紙は少なくなったけれど、温かみが違います」(冠木さん)。カレンダーサイズの型紙なら初心者でも挑戦できる(要予約)。

<行き方は>JR磐越西線喜多方駅から無料送迎車で約20分(3日前までに要予約)。
<温泉情報>ナトリウム・カルシウム-塩化物泉。
<今夜の宿>帰郷のお宿 ふじや(電話0241・36・2121)は13室(うち1室はトイレなし)。1泊2食1人1万160円~、日帰り入浴700円(午後1~5時)。フィトテラピーのカウンセリングは7000円(1時間30分)~(要事前予約、オイル代は別途)。
<遊ぶなら>染織工房れんが(電話0241・23・1424)での型彫り体験は1時間30分で2000円。廃線跡に約1000本のしだれ桜が咲く「日中線しだれ桜並木」の見ごろは4月中~下旬。

(旅行作家 野添 ちかこ)

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